2024年5月13日〜2024年5月17日
更新 : 2024/5/10 18:00
(通常毎週金曜日夜更新)
米景気や半導体動向めぐり方向感出にくい
今週の株式見通し
主要指標の推移 | 日経平均株価 | 38229.11(前週末比 -6.96) | TOPIX | 2728.21(前週末比 -0.32) |
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今週の日本株相場は、日経平均株価が3万8000円台を固める展開となった。円安や企業決算が買い支えになる半面、上値の重さも目立ってきた。FRBの金融政策に対する見通しも揺れる中で、目先は方向感が出にくい局面が続く可能性がある。中国経済の回復感の強まりは、関連銘柄には追い風だが、同国市場へのマネー回帰が本格化する場合は日本株全体の需給を悪化させる恐れもある。
半導体をめぐっては、英アームの新年度の売上見通しが市場予想を下回るなど、マーケットを沸かせてきた生成AI投資の鈍化を連想させる材料が浮上した。投資家は根強い期待と不安のジレンマにさいなまれ、本丸である米エヌビディアの2〜4月期決算発表(22日)まではこの問題に決着が付きにくいだろう。
もっとも、既に決算や新たなガイダンスの開示を済ませつつあるほかの米国企業の収益予想は、同国の景気の先行きの見極めにくさや中東リスクを背景に実態以上に慎重な色合いが強い。このため、次の決算発表シーズンへ向けて上ブレ期待が膨らむ余地もありそうだ。また、日本企業の決算や業績予想はおおむね及第点という印象。前3月期に連結営業利益が初の5兆円台に乗せたトヨタ自動車(7203)は今期減益の見通しだが、サプライチェーンへの還元や成長投資による影響が大きく、為替前提も保守的だ。
FRBの金融政策については、一連の雇用系指標を受けて再び利下げへの期待が勢いを取り戻した。ただ、9日に出た失業保険申請件数には特殊要因も含まれ、依然として米景気は読みにくい。物価については、来週は14日の4月PPIと15日の同CPIを控え、短期的な波乱に注意が必要になる。
一方、中国経済の好転を示唆する統計・指標が相次いでいる。9日発表の同国の4月の輸出入はいずれも前年同月比でプラスに転じた。中国依存度が大きい個別銘柄の買い手掛かりになっている半面、同国を遠ざかっていたグローバルマネーが回帰する過程で、日本から資金が流出することも考えられる。日経平均の予想レンジは3万7,500〜3万9,000円とする。
注目材料・為替
米4月CPIに注目
予想レンジ:1ドル=154円00銭−158円00銭
5月6−9日のドル・円は上昇した。6日は東京とロンドン市場が休場の中、円売りが優勢となるが、前週の為替介入と思われる動きが落ち着き、ドル・円は上昇。7日は植田和男日銀総裁が「円安で今後基調的物価情勢にどういう影響が出てくるか注意深く見ていく」と述べ、円安について踏み込んだ発言がなかったことで円売りが加速。さらにNY時間にカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が政策金利据え置き長期化の可能性を示すと、米10年債利回りの上昇と共にドル円は上伸。8日は衆院での植田総裁や鈴木財務相の発言に目新しい内容はなく円売りが進む。9日は4月の日銀金融政策決定会合の主な意見が公表され、日銀のスタンスへの思惑からドル・円はもみ合いとなったが、一巡後は円売りが優勢となり、ドル円は156円近くまで上昇。しかし、その後は米新規失業保険申請件数が予想を上回ったことで米10年債利回りが低下し、ドル・円も軟化した。
17日までに発表される米国の経済指標では、5月ミシガン大学消費者信頼感指数、4月PPI(生産者物価指数)、4月CPI(消費者物価指数)、4月小売売上高、5月ニューヨーク連銀製造業景気指数、5月フィラデルフィア連銀景況指数、4月住宅着工件数、4月鉱工業生産、4月景気先行指標総合指数に注目。3月CPIは前年同月比3.5%上昇と、前月の同3.2%上昇から加速し、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ見送りの長期化観測が強まったが、今回はハト派の見通しが増加している中だけに、なおさら注目される。
ドル・円は、当局の為替介入を意識して158円ちょうどが上値メド。下値メドは154円ちょうど。
週間タイムテーブル
国内 | 海外 | |
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5月13日(月) | 4月マネーストック=8時50分 ◆決算発表=ソフバンG(9984)、ブリヂス(5108)、スズキ(7269)、塩野義薬(4507)、サントリBF(2587)、日清食HD(2897)、大林組(1802)、大日印(7912)、東レ(3402) |
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5月14日(火) |
4月国内企業物価指数=8時50分 ◆決算発表=ソニーG(6758)、アサヒ(2502)、ニトリHD(9843)、三住トラスト(8309)、りそなHD(8308)、ENEOS(5020)、楽天グループ(4755)、出光興産(5019)、荏原(6361) |
ユーロ5月ZEW景況感調査=18時 米4月卸売物価指数=21時30分 |
5月15日(水) | ◆決算発表=三菱UFJ(8306)、リクルートH(6098)、三井住友(8316)、ゆうちょ銀行(7182)、日本郵政(6178)、第一生命HD(8750)、日ペイントH(4612) |
MBA住宅ローン申請指数=20時 米4月消費者物価指数=21時30分 米4月小売売上高=21時30分 米5月ニューヨーク連銀製造業景気指数=21時30分 米5月NAHB住宅市場指数=23時 |
5月16日(木) |
1〜3月期実質GDP=8時30分 3月設備稼働率=13時30分 |
米4月住宅着工件数=21時30分 米4月建設許可件数=21時30分 米5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数=21時30分 米4月輸入物価指数=21時30分 米4月鉱工業生産=21時30分 米4月設備稼働率=21時30分 |
5月17日(金) |
中国4月小売売上高=11時 中国4月鉱工業生産=11時 米4月景気先行指標総合指数=23時 |
- ※ 海外の時刻は日本時間。